ひさびさの中野上映会を開催しました。デッチあげ企画「つみきのいえ」アカデミー受賞記念です。海面上昇がテーマのアニメーションがそんなにあるわけもないのですが、かなり強引に作品を選抜しました。
他の団体のキャンセルにより突然使用可能となった会場ですので、いつにも増して宣伝の期間がありませんでした。急遽ハガキでお知らせを200ほど出したものの、当日は、ガラガラの客席ではないかと心配していましたが、雨にも関わらず80人ほどのお客さんが来てくれてなかなかにぎわいました。
「なみきのいえ!?海面上昇漫画映画」特集の内容は....
●まず「コングの息子」の予告編から。本編のラストがちゃんと海面上昇なんですが、予告編にはないのでなんだかなあ。本編見ていない人にはわからなくてすみません。
フィルムがつながっている関係で切れなくて「キング・コング予告編」もやりました。やはり、オリジナルは何度見てもいいです。
●続いて実写で1938年のアメリカのニュース映像で洪水の模様を上映。本当は日本の洪水シーンを集めたフィルムも試写したのだけれど、あまりにも悲惨なので、取りやめ。明るいアメリカの洪水ニュースだけを上映。
● さらに映画「十戒」の予告編、というかプロモーションフィルム。延々10分間もデミル監督がしゃべるシーンが中心で本編の画像はちょっとずつはさまるだけ。最後の海面上昇(?)はもちろん見せることなく終了。しかし、こんな特集でないと上映しないので、まあごかんべんを。
●「海底少年マリン/ねらわれた海底牧場」は、オープニングなどなくて残念だが、色彩、音声などコンディションの良いプリントなのでなかなか楽しめたのではないでしょうか。 僕は面白かったです。先日全話のDVDを買ったばかりなのですが、かえってそちらを見る機会がなくて.....。
●日本漫画映画の伝統を探る「三公と蛸~百万両珍騒動~」(1933年・村田安司)は、これはまたコンディションの悪いぼろぼろのプリント。全体的にフィルムが経年劣化で縮んでいるので目詰まりがしていて(パーフォレーションの間隔が狭くなっていて)、だんだんとフィルムの遊び部分(ループ)がなくなってくる状態。
そのうち切れてしまうので早めにストップして、フィルムを送っては再開する繰り返しで10回は停まったはず。しかし、デザイン、動きともすばらしくユニークで、面白い作品ではありました。
●ハーマン=アイジングの「金魚の海底探検」The Little Goldfish(1939)は数年前に購入したままになっていたアニドウ初上映のプリント。色もきれいで買ってよかったと思うものでした。
●トムとジェリーの「夢と消えたバカンス」 Cruise Cat(1952)ハナ=バーベラは海面上昇でもなんでもないただの海の上のドタバタ。しかし、ギャグの冴えは何度見ても面白い作品。
●ファンタジアからの「魔法使いの弟子」Sorcerea's Apprentice(1940)はこの部分だけ単品で売っていた物。もちろん全編もありますが、これはこれで色味が面白いプリント。これはテーマそのものの海面上昇ですね。
●海面上昇のはずがそういう描写もない「ノアの箱船」Noah's Lark(1929)はディヴ・フライシャー初期の白黒作品。ピントくっきりのプリントでなかなかシュールなできばえです。
●「Mの海山越えて」Wild Waves(1929)は、波が出てきてあれこれですが海面上昇とはちと苦しい。
●まんがに混じってアート系作品の「ノアの方舟」Noah's Arkはジャン=フランソワ・ラギオニーの切り紙。不気味な話に加え、プリントがなんだかジラジラ歪んでいるカラーの不気味なもの。これは怪しげなデュープによるものですねえ。
●明るいシリーシンフォニー作品「ペンギン物語」 Peculiar Penguins(1934)はカラーもきれいなプリント。海面上昇と言えば、南極、南極といえばペンギンという連想でございます。
●さてトリを飾るのは「ベティの舞台大洪水」She Wronged Him Right(1934)。今回のテーマを考えたとき、最初から最後にやろうと思っていた作品。海面じゃないですけれど、観客が水の中から拍手しているカットがアニドウの上映会に相応しく思えたからです。
そんなこんなでいつもより遅くなって9時半すぎに終了。たっぷり2時間半を楽しんでもらえましたら幸いです。打ち上げは、関係者8人で会場近くの居酒屋「旬」へ。レモンサワーなどちょっとだけ飲んで親子丼を食べて盛況を祝いました。次回は8月27日です。
後ろからでも誰だか分かる人が若干2名(笑)。
「妖星ゴラス」の予告編なんてのは予定になかったんでしょうか。